プラセンタによる感染について


プラセンタとは、厚生労働省に認可されている、胎児の発育や成長のために必要不可欠な人の胎盤から抽出したエキスのことで、豊富な栄養素に加えて細胞分裂を促進するいろいろな生理活性物質が含まれているもののことをいいます。プラセンタのエキスをいろいろな疾患に対して治療に応用させたものをプラセンタ治療といいます。多くの症状に効果があるとされていまして、幅広い治療効果から、医薬品として内服薬や注射薬などとして多くの医療機関で使用されています。最近では美白や美肌の効果もあることがわかってきまして化粧品や健康食品にも使われるようになってきています。

2006年8月に厚生労働省から、ヤコブ病の対策として、化粧品や健康食品、内服薬等は含みませんが、献血の制限措置としまして、人の胎盤から抽出した注射薬のみを対象に、プラセンタ治療を受けた経験がある人の献血を禁止すると発表しました。
ヤコブ病とは、それまでごく普通の生活を送っていた人が、めまいや立ち眩みを感じたり、あるいはうまく歩けないなどの症状を感じるところから始まり、数ヶ月のごく短期間のうちに目が見えにくくなったり、音が聞こえなくなるなどの症状が進行し、一気に痴呆状態になって死に至るというまだ、医学では治療法がない病気なのです。ヤコブ病にかかった人は一年も経たないうちに「無動性無言」という寝たきりの状態に陥ってしまうそうです。問題となっている今回の輸血禁止処置は、BSEが人間に感染したとされる「変異型ヤコブ病」の輸血感染を防ぐ措置の一環というものです。

プラセンタ注射によってヤコブ病になった感染例はこれまで全くないのが事実です。今回の措置は、あくまでも「念のため」のもので、プラセンタ製剤によって感染するリスクはありませんし、ヤコブ病になった方ももちろんいまん。ですが、プラセンタ治療を受けたことにより、将来何らかの病気を発症することは全くない、とはいえませんので、各病院では、人間の胎盤製剤による、輸血・献血などの医療上のプラセンタの使用に関しましては、20年間のカルテの保存が義務づけられています。